Monday, January 18, 2016

今日のProAgeインタビューは、The Vision Walkerでもお話をしていただいた、アロマ、ハーブの研究家、加藤万里さんです。
カリフォルニアバークレーでクラスを持つとともに、書く人としても本の出版を始め、六耀社 オフィシャルサイト で連載を持つなど、その仕事は多岐にわたり、植物を通して世界を観る人です。
では、どうぞ。
□ □ □

*ご自分のことを簡単に紹介してください。

万里さん:バークレーで、アロマクラス、ハーブクラス、お花の会を主宰しています。
時々ものを書く仕事もしています。
仕事以外の時間は、もっぱら植物の研究を。お気に入りの息抜きは、日本のお笑い番組鑑賞。


*おいくつですか? 

万里さん:ジャニーズばりの枠はりで申し訳ありませんが、アラフィフです。
ということで読者の皆様には想像の世界をお楽しみ頂きたく思います。


*心身共に変化を感じた時期はありますか?
あったとしたら、いつ、どんな変化ですか?

万里さん:40代半ば頃に、はっきりとした変化を体験しました。
生理的な身体の変化、更年期の本格的な始まりだったと思うのですが
丁度その頃、それまで長年していたお花の仕事を無期期限休止することを決めたのと偶然重なったせいか、軽い鬱状態になりました。
生き甲斐の喪失と更年期の訪れが合体して、はっきりとした症状を体験したと言えます。
その後も老眼の急速な悪化やら皮膚、髪の衰えなど、それに伴う精神的な動揺(笑)、ショックなどは今もまだ続行中です。


ProAge(今の自分を楽しんで生きる)という考え方について、感じることを話してください。

万里さん:若い頃は、フランス、イタリアの、自分というものを持ったかっこいい大人の女性や、日本でも自分ならではのプロフェッショナルな仕事をこなされ、
生き生きと生きてらっしゃる先輩の女性達をメディアや雑誌で見て、歳をとるということに、単純に憧れさえ抱いていました。

しかしいざ自分がそういう年代になってみると、失われて行く若さ由来の美しさ、
身体機能の不快適さを体験し、上記のような憧れていた女性のかっこよさというものは、
こういう症状の上に築かれた、強さや生きる力をベースにして醸し出される美しさだったんだーーー
ということを今、あらためて理解しています。

「歳を重ねていく」ということは、波のように間を置いてやってくる不安や、
老年期を迎える入り口に立った切なさ、もの悲しさ、不便さーーー
そんなちょっぴり切ない状況を少しずつ受け入れて、徐々に折り合いをつけていく。
生きる有機物として、枯れていく「過程」を受け入れて、その状況を味わっていく。
季節で言えば、秋や初冬のような人生の「季節」を、その時にしか味わえない体験として、しっかり向き合い、味わって生きていくことなのかもしれません。

私は、まだ身体の衰えの変化に戸惑いが完全にぬぐい切れない状況で、「味わう」状況には達していませんが、少しずつ、歳を重ねている自分の身体にねぎらいと愛おしさ、感謝を持てるようになっていきたいなあと思っています。
そして、「折り合い」をつけるプロを目指しながらも、今の自分にしかできないこと
(私の場合は仕事だと思っていますが、人によっては家庭であったりボランティアであったり介護であったりーーー)をしていきたいです。

若い頃には自分の中から出てこなかったもの(エキス!)を表現していけるのが、
「秋、冬」の人生を送っている人ならではの特権だと思います。そんな時期をやはり人生一度きりの季節ととらえ、楽しんでいけたらと思います。
 
  
*ライフワーク、人生の中で自分の仕事だと思うことはなんでしょう。

万里さん:前述した通り、更年期の鬱症状になった時、それまで長年していたお花の仕事を偶然小休止した時期と重なりました。
オーバーに聞こえるかもしれませんが、自分の分身のようなお花と距離を置いたことで、
身をそがれるような思いを体験しましたが、そんな私の症状を見て、日本の友人がアロマを本格的にケアとして使うことを勧めてくれました。
効果はすぐに実感でき、気づいたら鬱も消えていました。
その時、お花の仕事を神様から小休止させられた意味に気づきました。
まさに更年期の始まりが、私の第二のライフ・ワークの幕開けとなり、それをきっかけに、本格的にアロマを学び仕事にすることになったのです。
またその流れで、20代の頃から大好きだったハーブも、あらたに「メディカルケア」の分野で学び直し、今年は本格的にクラスも始動する予定です。
 
正に更年期の不調から、私は新しい植物の扉を開き直させてもらったので、
「与えられた」という感覚があります。
今はそれを神様からのギフトと思い、残りの人生はハーブを中心とした植物の研究とシェア(クラス、ワークショップ)に捧げたいと思っています。
自分の楽しみ(研究)が、同時に人のためになるということを、いつも意識しています。

何かに夢中になっている時は、「時間が止まっている」ような、「無」体験をしているような気がしますよね。
私も、植物の勉強やシェアをしている時間は、身体の不調や不便さ、不安ーーーといったことから引き離されて、純粋に「自分の与えられた人生」を生きている!と感じます。
その「時間が止まっているような」瞬間を真摯に生き、
「その瞬間の連続」のような人生を過ごすことが、本望です。
それが私にとっての「エイジレス」、です。

  
*暮らしの中で好きな瞬間は?

万里さん:朝、庭から聞こえる鳥の声。まだ寒さの残る早春に見つけた小さな花の開花。
紅葉が見せてくれるマジカルな色合いーーー
家族が機嫌よく過ごす家の中での時間。音楽の、音の中に「見える」、真実みたいな存在。
心がピュアになった時に感じる、どこからともなく聞こえてくる声。そんな時によく起こる偶然。

きっと、私は神様に繋がっている、と思える瞬間が、この上なく好きなのだと思います。
自分というものが、きゅーーーっと小さくなって自我みたいなものがなくなって、大きなものに触れているような感覚。
その瞬間がとても好きです。

(もちろん、お笑いでげらげら笑っている瞬間も、言うまでもなく!)


*あなたが素敵だな、と思う人を教えてください。どういったところが素敵と思うかも、教えてください。

万里さん:自分。と嫌みなく爽やかに軽やかに、でも本気でそう思える人になりたいです。
 
(夫には、動物行動学者のジェーン・グドール、mikaさんには菌類学者の南方熊楠を彷彿とさせられる、
とよく言われるので、自分の指針にしています。)

ウエブサイト:foliage 




Photo:Copyright ©Madelene Farin
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